ホームルーター/工事不要で自宅にネット回線!
最近は、光回線のような固定回線を自宅に敷くより、ホームルーターでモバイル回線を自宅で利用する人が増えている。
特に一人暮らしなどの場合は、固定回線をわざわざ敷く必要性も少なく、また、設置工事不要なので、ホームルーターが届けばすぐに利用できるメリットがある。
即日発送してくれるプロバイダも多く、申し込んだ翌日に利用することも不可能ではない。
ホームルーターの設置は基本的には簡単で、開封してコンセントに挿すだけでネット回線が開通する。設定箇所としてはWiFiの設定くらいだ。
また、日本の集合住宅の半数以上は光回線を敷くための配管がない。そのため光回線を敷いたとしてもVDSLによってかなり低速になってしまっている。
このような光回線が敷けない人たちにもホームルーターが人気となっている。
自宅で使うネット回線/モバイルルーターとホームルーターの違い
自宅のネット回線としてモバイル回線を選ぶにあたり、モバイルルーターとホームルーターのどちらを選ぶかという問題が発生する。
モバイルルーターもホームルーターも回線を利用するだけなら違いはあまりないので、わざわざホームルーターを選ぶメリットを感じない人も多いかもしれない。
しかし、ホームルーターには2つ大きなメリットがある。
ホームルーターの長所
- 電波の届く範囲が広い
- 同時接続WiFi機器数が多い
電波が届く距離だ。モバイルルーターはポケットWiFiと言われるくらいなので、電波が届く範囲が狭い。せいぜい10~20mほどだ。
一方でホームルーターなら50~60mほど届くと言われている。もちろん、家具や壁などの障害物があるとそれだけ届きにくくなる。
ワンルームならモバイルルーターで十分だが、一戸建てだとホームルーターでないと届かないと思われる。
ただし、モバイルルーターでもクレードルに設置することで、アンテナが増えて感度を上げることは可能だ。これはWiFiのみならずモバイル回線のアンテナ感度も良くなる。例えばWiMAXのWX06はクレードルを利用することで通信速度が60%向上するほどだ。
もう一つのメリットは、同時接続できるWiFi機器の数だ。これもモバイルルーターならせいぜい10台程度が限界だが、ホームルーターになると30~60台繋ぐことができる。
とはいえ、後述するがWiMAXのホームルーターの場合は、同時接続数が20台程度と決して多いわけではない。現実的には20台も繋がれば問題ないだろうが、スペック上モバイルルーターとそんなに大きな差を感じない。
昨今の家電はWiFi接続することも多いため、家族で利用する場合はモバイルルーターでは荷が重いだろう。
ホームルーターの短所
- 持ち運べない
逆にホームルーターの短所はというと、電源を繋いでいないと使えないため持ち運びできないことに尽きる。
WiFiルーターとしてはモバイルルーターよりは優れているのは上述したが、折角のモバイル回線でも自宅から持ち出せない。
また、WiMAXならホームルーターを持っていけば何処で使っても問題ないのだが、docomo home 5Gの場合は、登録住所以外で使用することが禁止されている。
一人暮らしならモバイルルーターで問題なし
1~2人で暮らしているのなら、わざわざホールルーターを選ばずともモバイルルーターをクレードルに設置して自宅では利用しておき、外出に持ち出せるようにしておく方法がおすすめだ。
WiFiルーターとしてはモバイルルーターよりは優れているのは上述したが、折角のモバイル回線でも自宅から持ち出せない。
特に一人暮らしなら、誰かのためにルーターを自宅に置いておかなくてはならないということもないので、モバイルルーターでいいだろう。
モバイル回線のホームルーターと光回線どっちがおすすめ?!
光回線と比較する場合は、モバイル回線のホームルーターは設置工事が不要な点が最大のメリットとなる。早ければ翌日、遅くとも1週間後には利用できるはずだ。
ホームルーターと光回線の比較
ホームルーターなら工事不要なので、早ければ翌日開通することも可能。
光回線の方が通信は安定する。
月額料金は似たような金額。
光回線の工事も早くはなっているが、2週間程度はみておく必要があるし、場合によっては数ヶ月かかる可能性もある。
そのため光回線の工事が完了するまでの間に、モバイル回線を貸し出してくれるプロバイダもある。
料金はWiMAXのキャンペーンなどを利用すればホームルーターの方が安くなるが、劇的な差があるわけではない。
通信速度に関しては、一般論としては、光回線と比較してもWiMAX+5Gやドコモの5Gなどは十分高速であり、光回線の方が速いかもしれない程度の差である。
モバイル回線は特に接続する場所や時間で速度が極端に変わるし、光回線にしてもIPv6対応していないフレッツ光の夜間などはかなり遅いので、一概にどちらが速いとは言い難い。
結局は、ホームルーターを窓際に設置するかどうかでも変わるし、時間帯でも変わってくるので、速度がどの程度変わるかは実査に使ってみないと分からない部分が多いのだ。
ただし、一般的に、光回線の方が通信は安定している。モバイル回線はどうしても電波状況に左右され通信の品質が安定しない。
モバイル回線には速度制限がある
ただし、光回線の最大のメリットであり、ホームルーターのデメリットになるのが、速度制限に関する条件だ。
光回線は、かなり極端な使い方をしない限りどんなに使っても速度制限にはかからないが、ホームルーターによるモバイル回線の場合は、データ量無制限とはいいながらも3日間で10~15GBなどの条件があるため、その条件に引っかかると速度制限対象となってしまう。
これも一人で利用する場合ならあまり問題にならないのかもしれなが、家族で利用するとなると速度制限の問題はかなり大きいと言わざるを得ない。
従って、複数人で利用するようなケースではく光回線をオススメする。
ただし、docomo home 5Gでは2022年2月現在3日間の速度制限がない可能性が高い。
WiMAX+5Gでも、2022年2月より3日間の速度制限が緩和され、混雑時のみ速度制限がかかるようになったので、以前よりは使い勝手が良くなっている。
またWiMAXの速度制限も18時~翌朝2時までだったのが混雑時のみに変更されたので、混雑時に使わなければ問題ない。それでも混雑時というのがやや曖昧な点は気になるところだ。
ネットワークの混雑状況により、通信が遅くなる、または接続しづらくなることがあります。また、当日を含む直近3日間のデータ利用量が特に多いお客さまは、それ以外のお客さまと比べて通信が遅くなることがあります。
なお、一定時間内または1接続で大量のデータ通信があった場合、長時間接続した場合、一定時間内に連続で接続した場合は、その通信が中断されることがあります。
引用元:docomo home 5G プラン ご注意事項
ドコモのサイトには上記のような記載があることと、制限がかかったという口コミもなくはないので速度制限がかかる可能性は十分ありえるが、今のところは比較的かかりにくいようだ。
モバイル回線だから何処でも契約できるわけではない
光回線とは異なりモバイル回線の場合は、エリア内ならドコモで契約できそうだが、実際には断られるケースがある。
例えばSoftBank Airの場合、下記の条件に該当する場合には契約できない。
SoftBank Airを契約できない条件
- 11F以上の高層階
- 周辺高層ビル地域内
- 建物密集地域内の低層階
恐らく、11F以上の高層階となると電波の状況が悪くなるのではないかと思われる。
WiMAXなどのモバイル回線を高層階のホテルの部屋で繋ごうとすると繋がらないという経験をした人もいるかもしれないが、上記の条件に該当する場合には、SoftBank Airの品質基準を満たさないのだろうと思われる。
ただし、これはあくまでもSoftbank Airの基準である為、他社のホームルーターなら契約できる可能性はある。
WiMAXならTry WiMAXを利用して実際に接続できるかを確認すればいいだろう。
試した結果ダメなら、光回線など固定回線を使うしかないと言うことになる。
ホームルーター比較
ホームルーターを使ったインターネット回線のサービスは色々登場している。
- WiMAX
- SoftBank Air
- docomo home 5G
- NURO Wireless 5G
NURO Wireless 5Ggが2022年4月1日よりサービスの提供を開始した。
ちなみにWiMAXはauなので、キャリアでサービス提供していないのは楽天モバイルだけだ。
HR01 | Airターミナル5 | HOME 5G L11 | HOME 5G L12 | NURO | |
---|---|---|---|---|---|
キャリア | docomo | Softbank | WiMAX+5G | NURO | |
メーカー | シャープ製 | OPPO製 | ZTE製 | NEC製 | ソニー製 |
最大通信速度 | 4.2Gbps | 2.1Gbps | 2.7Gbps | 2.7Gbps | 4.1bps |
WiFi | IEEE802.11 a/b/g/n/ac/ax | ||||
アンテナ | 2x2 | 4x4 | 4x4 | 4x4 | 不明 |
LANポート | 1000BASE-T | 5GBASE-T | |||
同時接続数 | 64 | 128 | 30 | 40 | 不明 |
docomoのホームルーターはシャープ製である。
WiMAXのホームルーターは、以前のL02はHUAWEI製だったがHUAWEI製が規制対象として大々的に報じられたせいかL11では中国のZTE製になった。ソフトバンクAirのホームルーターもHUAWEI製だったが新製品からOPPO製となった。
HUAWEIもZTEもアメリカでは規制対象となっているので、気になる人はdocomoかWiMAX+5GのHOME 5G L12をおすすめする。
なお、OPPOも中国のメーカーだが、今のところアメリカの規制対象とはなっていない。
通信速度に関してはdocomoのホームルーターが最も高速だが、5Gエリアはまだまだ狭く、またエリア内でも速度が出るとは限らない。
WiMAX+5Gの最大2.7Gbpsというのも、5G、LTE、WiMAXを全て組み合わせて実現していることもあり、こちらもエリアはかなり限定的だ。
ソフトバンクAirのホームルーターは2021年9月に新型の5G対応になり2.1Gbpsとなった。
ただし、WiFiの転送速度は最大1,201Mbpsであり、有線LANの1000BASE-Tでも1000Mbpsしか出ないのだから、理論上の通信速度を比較しても仕方がない部分は多い。
アンテナはドコモのみ2x2MIMOとなっており、WiFiルーターとしては他製品と比較すると劣る。
同時接続台数が多いのであればアンテナが多い方が有利なのは言うまでもないのだが、1台しか接続しなくてもアンテナが多い方が速い傾向にあるため、たくさんの機器を接続するのならWiMAXのルーターの方が有利だろう。
また、ドコモのルーターは5G対応のため最大速度4.2Gbpsとなっているが、WiFiルーターとしては最大1,201Mbpsしか出ないので、仮に5Gで最大速度が出たところで端末では恩恵を受けられないことになる。
WiMAX+5GのHOME 5G L12は最大2.7Gbpsとドコモよりは遅いが、WiFiルーターとしても最大2,402Mbpsまで出るので速度を理論上は体感できる。
ところで、WiMAXの場合はモバイルルーターを購入してそのまま自宅で利用することも可能だ。クレードルと組み合わせればWAN側の感度が上がる。
一人暮らしの場合などは、いざという時に持ち出せるモバイルルーターとクレードルの組み合わせもおすすめだ。
docomo home 5G、WiMAX、SoftBank Airの料金比較
では、docomo home 5GとWiMAX、SoftBank Air、NURO Wireless 5Gではどれがいいのだろうか?
まず、どれもホームルーターを選ぶ以上は自宅での利用となる。
モバイル回線は特に接続する場所による速度差が大きいので、自宅がどちらの方が速いのか?というのが気になるところだ。
WiMAXに関して言えばTry WiMAXというお試しサービスがあるので、それを利用すれば満足できる速度が出るか否かは分かる。
docomo home 5G | Softbank Air | WiMAX+5G | NURO | |
---|---|---|---|---|
月額料金 | 4,950円 | 5,368円 | 3,927円~ | 4,950円 |
3年の支払総額 | 186,450円 | 148,404円 | 149,207円 | 186,450円 |
WiMAXは、プロバイダによって料金の差が大きい。上記の料金はWiMAX+5Gで最安値のGMOとくとくBBの料金である。
docomoとWiMAX+5Gで一番安いGMOとくとくBBを比較すると、上記のように33,000円ほどの差がある。
また、現在ドコモショップでhome 5Gを申し込むとdポイント1万円分プレゼントキャンペーンを実施しているため、WiMAXとの差は23,000円程度まで下がる。
GMOとくとくBB経由で申し込めば18,000円分のアマゾンギフト券が貰えるキャンペーンも実施している。
加えて、docomoのスマホを使っているのであれば「home 5G セット割」の分だけ安くなる。1回線あたり最大で1,100円/月の割引が受けられるので、3年間なら約4万円ほどの割引が受けられる計算になるので、料金面ではdocomoが最も有利になる。
ただし、docomoのahamoを利用している場合は、割引対象外となり「home 5G セット割」の恩恵は受けられない。
Softbank Airは、キャッシュバックキャンペーンを実施しているため、他社より安価に利用できる。ソフトバンクユーザーやY!mobileなら、おうち割り光セットが適用されるので、毎月1,100円ほどの割引が受けられる。
加えて、旧型のホームルーターを選ぶと12ヶ月間毎月1,100円の割引を受けられるのだ、更に安くなる。
ホームルーターのプランでは最も安くなるのが、SoftBank Airと言えそうだ。
ホームルーターの決定版/docomo home 5G
docomoのhome 5Gのルーターは、ホームルーターのHR01のみとなっている。
料金プランも「home 5G プラン」のみだ。
別途スマホを利用しているのであれば、スマホ料金が毎月1,100円割り引かれる。ただし、「5Gギガホ プレミア」「5Gギガホ」「5Gギガライト(1GB超)」「ギガホ プレミア」「ギガホ」「ギガライト(1GB超)」に限る。
また、同一ファミリー割引グループ内でドコモ光を契約している場合は「ドコモ光セット割」が適用される。
home 5G プラン
- 4,950円/月
- データ量は無制限
- 「home 5G セット割」で各スマホ回線が1,100円/月割引
データ量は無制限となっている。3日間のデータ量は定まっていないが、極端にデータ量が多い場合は速度制限がかかることはあるとのことだ。
これならOSのアップデートなどでデータ量が一時的に増えても何とかなりそうだ。
また、大量のデータ通信を行ったり、長時間接続し続けた場合などには制限されることがあるので、サーバーを公開するような用途には使えない。
月額料金は4,950円となっている。同等のサービスである「5Gギガホプレミア」は7,315円と比較するとかなり割安だ(home 5Gでは音声通話はできない)。
ただし、home 5GはNTTドコモに届け出した住所以外では利用禁止となっている。モバイル回線なので持ち出しても専用ACアダプタが挿せるコンセントさえあればどこでも使える筈だが、そのような利用はできない。
docomo home 5GのホームルーターHR01は実質無料
契約事務手数料は3,300円。ホームルーターのHR01の代金はオープン価格だがドコモオンラインショップでは39,600円となっている。
月々サポートが適用される。39,600円の36回払いで毎月の支払い額が1,100円となるが、月々サポートで最大36カ月間毎月1,100円が割り引かれるため実質無料で購入できる。
なお、一括払いや12回払い、24回払いでも毎月1,100円割り引かれるので支払い方法に関してはどれを選んでも問題はない。
home 5G パック
「ケータイ補償サービス550円/月」と「ネットワークセキュリティ385円/月」がセットになって770円/月と、165円割り引かれるパックも用意されている。
とはいえ、ホームルーターなので、水濡れなどのトラブルはほぼ無いだろうから、「ケータイ補償サービス」に入る必要性があるかは微妙な所だろう。
home 5Gの口コミ/アップロード速度は期待できない
口コミなどを見る限りダウンロードに関しては4Gでも最大1.7Gbpsと十分な速度であり、接続の悪い場所でなければ固定回線代わりとして使えそうだが、アップロード速度はあまり期待できないようだ。
とはいえ、WiMAX+5Gのホームルーターと比較してスペック上は遅いわけではなく、むしろ速い。
アップロード速度に関してはモバイル回線のデメリットと考えるしかないだろう。
固定電話になるhomeでんわ
2022年3月下旬にドコモから「homeでんわ」というサービスが開始されている。
これは固定回線を引かなくても、LTEによって固定電話が使えるサービスだ。
このhomeでんわとhome 5Gを組み合わせれば、固定回線なしで光回線のように固定電話もネットも利用できることになる。
homeでんわ HP01という専用端末に固定電話を接続するだけで、固定電話として利用できるのだ。電話番号も「03」などの市外局番から始まる番号などが利用できる。
MNPも可能だが、ひかり電話の番号帯は対応しておらず、NTT東日本・西日本で払い出された番号だけとなる。
料金は1,078円/月の「homeでんわ ライト」と、2,178円の「homeでんわ ベーシック」の2種類ある。
なお、docomo home 5Gやdocomoのスマホを利用しているのなら、「homeでんわ セット割り」として528円/月の割引が受けられるので、550円/月から利用できることになる。
なお、このhomeでんわも契約時に登録した住所以外では利用できない。
NURO Wireless 5Gはデータ量無制限のホームルーターのモバイル回線
基本的には光回線が利用できない方向けに大容量のモバイル回線を提供するサービスだ。
モバイルルーターではなくホームルーターを利用する。
家庭での利用となるとデータ通信量が気になるところだが、NURO Wireless 5Gではデータ通信量による制限もない。3日間で何GBで制限となると、家族が多い家庭では使いにくいがその点は大丈夫だ。ただし、あまりにも極端な通信量がある場合は制限されることもあるようだ。
ただし、モバイル回線になるので、サービスエリア内に自宅がないと使えない。
そして、通信はローカル5Gであり、基地局は加入者が一定数見込める場所に設置され、光回線が導入できないようなマンション向けのサービスになる。
そのため、エリアは基地局が設置された物件という極めて狭いエリアになり、戸建てへの対応はしない。
なお、サービス開始時のサービス提供エリアは東京、神奈川、埼玉、大阪の一部地域とかなり限定的だ。
ただし、サービス提供可能エリアとなると北海道、東京、神奈川、埼玉、千葉、愛知、静岡、大阪、兵庫、奈良、福岡の一部エリアとなる。
月額料金は4,950円でdocomo home 5Gと同額だが、NUROではホームルーターのレンタル料も含まれている。
事務手数料3,300円で、契約期間の縛りはない。また申込後7日間は試用期間となっており無料で利用できる。この間に速度の確認などを行い不満があれば解約することも可能だ。
基本的には物件毎に対応する必要があるので、住人がどんなに使いたいと言ったところで大家が「うん」と言わないと使えないサービスだ。
そういう意味ではNUROを選ぶ機会はあまりなさそうだ。ホームルーター選びとしてはWiMAXやdocomoやSoftBankAirの中からどれを選ぶか?ということになるだろう。